このマークやモチーフ、デザインで使っても大丈夫?

2022年10月、アーティストである椎名林檎さんのアルバムのノベルティグッズが「赤十字マーク」や「ヘルプマーク」に似ているとしてネット上で炎上したことは記憶に新しいところです。
また、やや異なるケースではありますが、アーティスト「THE RAMPAGE from EXILE TRIBE」が2023年12月22日放送の「ミュージックステーションSUPER LIVE 2023」で披露したパフォーマンスがナチスを彷彿させるとして批判を集めました。
これらだけでなく、過去、特定のマークやモチーフなどが炎上したり批判を受けたりしたケースは少なくありません。

では、マークやモチーフを使う際、特にどんな点に気を付ければよいのでしょうか? 具体的に見ていきましょう。

赤十字マーク

(出典)日本赤十字社ウェブサイト

赤十字マークは、戦争や紛争などで傷ついた人びとと、その人たちを救護する軍の衛星部隊や救護員・施設などを保護するためのマークです。条約や法律上、赤十字に関係のある活動にしか使用することができないと厳しく定められています。
デザインで赤十字マークは使用できませんので、注意しましょう。
詳しくは日本赤十字社のこちらのページもご覧ください。

また、イスラム教国では赤新月マークも同様に扱われていますので、こちらも注意が必要です。

ヘルプマーク

(出典)東京都福祉局ウェブサイト

ヘルプマークは、義足や人工関節を使用している方、内部障害や難病の方、または妊娠初期の方など、外見からは分からなくても援助や配慮を必要としている方々が、周囲の方に配慮を必要としていることを知らせることで援助を得やすくなるように作成されたマークです。
紛らわしい使われ方をすると混乱を招いて、本当に援助や配慮を必要としている人が援助・配慮されなくなってしまう事態も。
また、ヘルプマークは商標登録されているため、商標権侵害のおそれもあります。
ヘルプマークはデザインでは使わないようにしましょう。
詳しくは東京都福祉局のこちらのページもご覧ください。

過去にはこんな事件も

2022年10月、椎名林檎さんのリミックスアルバム「百薬の長」のノベルティグッズが赤十字マークやヘルプマークに似ているとして炎上しました。この騒動を受け、ユニバーサルミュージックはアルバムの発売を延期し、グッズのデザインを変更しました。

ハーケンクロイツ

ナチス党のシンボルマークとして知られるハーケンクロイツ。
このマークを使用すると「ナチスに賛同・支持する人・グループ」と受け取られるリスクがあります。
また、その歴史的な背景から、ハーケンクロイツ以外にも、ナチスやヒトラーを想起させるマークやスタイル(ex. 敬礼など)は批判の対象に。
一部の国では法律で明確に禁止されており、刑罰の対象となることもありますので、使わないようにしましょう。

過去にはこんな事件も

・韓国の人気アーティスト「BTS」がナチス親衛隊のシンボルマークがついた帽子をかぶって写真撮影したり、コンサートでナチス親衛隊をイメージさせる旗を掲げたとして、米国のユダヤ団体が抗議しました。

・韓国の人気アーティスト「TWICE」のメンバーが、ハーケンクロイツがプリントされたTシャツを着用した写真を投稿したところ炎上。メンバー自身が「意味を深く理解していませんでした」と謝罪しました。

・アイドルグループ「欅坂46」がコンサートで着用した衣装がナチス・ドイツの軍服に似ているとして、米国のユダヤ団体が抗議。これに対し、所属レコード会社とプロデューサーの秋元康氏が謝罪コメントを公開しました。

世界の国旗やエンブレム

国旗やエンブレムをデザインとして使用すること自体は可能です。
ただし、この場合でも次のような使い方はできません。

  • 名誉を害するような使い方
  • ブランドロゴなど商標としての使用
  • 外国政府が関与していると誤解させるような使い方
  • 原産地を誤認させるような使い方

ほかにも…

そのほかにも皇室の紋章である菊花紋章や家紋などは、使い方によっては問題となることもあります。
また、法律などで禁止はされていないものの、たとえば旭日旗や宗教的に意味のあるマーク、ハンドサインなどは、炎上のリスクも。
特定のマークを使用する際は、よく確認してから使用するようにしましょう。

Photo by Ian Hutchinson on Unsplash

Recommend